映画として、心から愛してる！
ミー坊がいろんな人々の間で自分の気持ちにだけ真っ直ぐにいられる人でい続ける道が続いていったことも、周りの人たちがミー坊の真っ直ぐさにどうしたって強く惹かれて変わっていく姿も、うつくしくてならない。愉快で朗らかな人生賛歌や…
ただでさえ自分の強い興味がすべての軸として生きていられるような真っ直ぐな人に憧れてばかりいるので、ミー坊は、自分には途方もなく魅力的に映った。
映像としても面白かった。幼いミー坊がさかなクンから貰って、落としたさかなの帽子を中心にし、月日が流れていく演出。ミー坊母の「あの子は大きい海に出てほしいんです」の発言のあと横に平行移動するカメラが映す、小さい水槽の数々の部屋。映画みてからこれ書くまでに時間が経っちゃったからほかは忘れたけれど、そういうカメラワークの面白さの数々を今度ゆっくり追って楽しむ所存。
何より気になるのは本物のさかなクン演じる、ミー坊の近所のおさかな博士の存在。「別の世界線でのさかなクン」とのことだが、それを本人が演じてることがかなり際どく、興味深い。ミー坊とあのおさかな博士の大きな違いは周りの人々だから、ミー坊があのように孤独に過ごす世界線は自分にはなかったように思う(なかったと、信じたい)。だけど裏を返せば、ミー坊と触れ合って結果的に互いに影響を与え合うような人がミー坊にいなかったとしたら。さかなクンのような数奇な面白い人生はないのだろう。この役をさかなクン本人が演じることで、周りの人々の存在の有無が生む大きな違いが危ういほど浮き彫りになっているように思った。
