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柳川のrinのレビュー・感想・評価

柳川(2021年製作の映画)
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(別媒体から感想を転記)

2023/04/09
中国から日本の柳川を訪れる兄弟。『群山』『福岡』と観て張律3作目。異郷の地の訪問、恋敵の存在と長らく実を結ばぬままの淡い思慕、親もしくは配偶者の不在、記憶と現在の時間的連続性の揺れ等、同じモチーフが幾つもあることに段々気づいてくる。これらの共通点はざっくり、収まる鞘がないということで、それ自体はありふれた特徴なんだけど、張律監督作品の特殊な点は、登場人物がそういった拠り所の無さを逆らわずに受け入れて、それどころかわりと泰然と構えているようにさえ見えるところ。時間が過ぎ去ってしまったことは事実だけどそれはもうしょうがないんだという前向きな諦めを感じる。そして、コミュニケーションの様々な壁が簡単に乗り越えられていくのも3作品に共通してた。話せばわかる、話さなくてもだいたいわかる。張律監督のバックグラウンドがそのスタンスを取らせるのかも。
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