ぶみ

ブルドーザー少女のぶみのレビュー・感想・評価

ブルドーザー少女(2021年製作の映画)
3.0
悪をなぎ倒せ。

パク・イウン監督、脚本、キム・ヘユン主演による韓国製作のドラマ。
窃盗車で事故を起こし、意識不明の重体となってしまった父の裏に隠されていた真相に迫る主人公の姿を描く。
主人公となるク・ヘヨンをヘユン、父となるボンジンをパク・ヒョックォンが演じているほか、イェソン、オ・マンソク等が登場。
物語は、高校生に対して腕にタトゥーが入っているヘヨンがブチ切れるという、なかなか破天荒なシーンでスタートし、この冒頭のシークエンスだけでもヘヨンの気性の激しさが見て取れるもの。
反面、ギャンブル中毒の父にかわって、幼い弟の面倒をみているという優しさも見せる中、父が事故により重体となったことをきっかけに、被害者から和解金を提示され、父が営む料理店兼住居の退去を求められる展開となるのだが、まあとにかくヘヨンの口が悪く、すぐにキレて感情のままに行動しているが故に、あまり感情移入できなかったのが正直なところ。
何より、そのインパクトはなかなかのものである邦題は、原題である『The Girl on a Bulldozer』そのままであり、そこから想像するに、ヘヨンがブルドーザーで暴れまくるアクションものかと思いきや、その実は格差社会において底辺から叫び声をあげる主人公が、父の事故の真相に迫るサスペンス要素も含めたドラマとなっている。
ただ、クルマ好きの視点からすると、イメージビジュアルにもなっているヘヨンが終盤に乗るキャタピラー社の重機がクローラーではなく、タイヤを履いたものであり、一般的には「ホイールローダー」として認知されているものであったため、韓国でのイメージはわからないが、少なくとも邦題に「ブルドーザー」を使うのは、あまりそぐわなかったのではないか。
また、序盤に職業訓練で使用された重機が小型のホイールローダーだったのだが、そこに「Hyundai」の文字があったため、日本では現代自動車(ヒョンデ)として認識されているブランド(実際にはグループ企業である現代重工業らしい)であったのは、例えるならトヨタや日産の名が冠された重機であったことから、現代グループの幅の広さに驚いた次第。
全体的にコントラストが強めで、輪郭のくっきりとした映像は、映画というよりは二時間ドラマ的な雰囲気であり、前述のように内容もあまり感情移入できるものではなかったものの、少女が大きな重機を操るというのは、なんだかんだいってもインパクト大であり、そのパワーで最後まで押し切った一作。

父が被害者なら謝る必要ない。
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