いぬ

セールス・ガールの考現学/セールス・ガールのいぬのレビュー・感想・評価

3.5
音楽に重きを置いている映画だなと思った。それこそ劇中で出てくる「1970年代の」映画のような音楽の挿入の仕方。この音楽を聞かせたいというのが伝わってくる。

この映画における「赤色」は生と性両方の自由を表しているように感じた。
主人公が夢の中で見る空を飛ぶ赤い風船、これは彼女のアパートから飛び降りた人を暗示しているのではないだろうか。
そして最も印象的な最後の場面の赤いマフラー。これは性の自由を手にした主人公の、様々なしがらみからの解放を意味していると私は思った。

謎の多い(暗喩の多い)映画だと感じたが、上映後にパンフレットや特集コラムにて現在のモンゴルの文化などについて知ると、謎だと感じていた部分に合点がいき、スッキリしたので、鑑賞後は是非パンフレットを読んでみて欲しいと思う。

主人公がしがらみから解放され、自分の人生を謳歌出来るようになる映画というのは事前情報で知っていたが、どこがターニングポイントになっていたのかを振り返ってみると、物売りの少女から大量のきのこを買い取ったあと、草原で寝転んで「おっぱいがかゆい!」と叫ぶシーンだと思う。オーナーとの出会いにより新しい刺激を受けていき、徐々に垢抜ける彼女(眉毛を整えたり髪を切ったり整えたり)が劇的に変わったのはあのシーンだろう。そして劇中で、さそり座の女は性的な欲求をとことん追い求めるというセリフがあり、彼女が自分の性を開放したことにより、その後自分でアダルトグッズを使って実験してみたり、同級生を誘ってみたり(アダルトグッズでは満足できなかった?)(うまく行かなかった?バスの窓にグッズを貼り付けて去るなどの描写からそう考察)などの探究心が表に出るようになったのだと考える。
いぬ

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