りょう

セールス・ガールの考現学/セールス・ガールのりょうのレビュー・感想・評価

3.4
 モンゴルの映画は、おそらく初めて観ました。これまでのイメージは、放牧民、ゴビ砂漠、ホーミー、大相撲の力士くらいです。資本主義国家になって30年以上経つので、首都のウランバートルなら普通の都市型の社会になっていて当然ですが、中国の文化圏だと思っていたので、もろにロシアの雰囲気が意外でした。
 そんなモンゴルの社会背景が興味深かったので、あまり映画の本質を理解しないまま観ていましたが、ところどころシュールな演出もありつつ、そのまま回収されない意味深なシーンが少なくなかったです。
 女子大学生の成長の物語だと思いますが、原子工学を専攻している“リケジョ”だし、家族と同居して日常生活の困難もないし、それなりに恵まれた環境で過ごしています。ちょっと主体性がなく、若者らしい活力もないので、せっかく奇麗な顔立ちなのにもったいないなと思っていると…。
 アルバイト先のオーナーの女性と交流する過程で女性的な魅力が開花していくところがリアルでした。彼女を演じた女性は、オーディションで主役に抜擢されたらしいので、いわゆる“順撮り”で物語の主人公と同時進行で奇麗になっていったのかもしれません。
 ただ、彼女はオーナーの女性に感化されていくばかりの展開で、他のキャラクターの存在感が希薄です。そのせいで物語が単調な印象もありました。
 ちなみに、モンゴルの都会の生活は普通にスマホなんかも普及しているのに、この国の住居にはインターホンというものがないのでしょうか。とても不便そうでした。
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