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映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使いのRのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2007年の日本の作品。

監督は「映画ドラえもん 新のび太と鉄人兵団〜羽ばたけ、天使たち〜」の寺本幸代。

あらすじ

何をやってもダメダメなのび太はドラえもんのひみつ道具「もしもボックス」で「魔法が使える世界」を作り出すことを思いつく。しかし、実現した世界はのび太の夢想とは程遠い世界だった!一方その頃、魔法の世界には魔界星に住む、悪魔デマオン率いる悪魔たちによる地球侵攻が始まりつつあった!

Netflixにて、多分2度目。

お話はあらすじの通り、劇ドラつうさん第27作目にして、第5作「ドラえもん のび太の魔界大冒険」のリメイク作品。

いわゆる水田版劇ドラの初期にあった「あの頃の名作をもう一度!」的な、つまり「テコ入れ」劇場版の意味合いが強い一作。

リメイクだと「のび太の恐竜2006」に続いてのリメイクとなるわけだが、個人的にはこれをリメイクしたかぁ…というかなり挑戦的な試みをしたなぁと感じたことを覚えている。

なんつったってオリジナル版は劇ドラの中でも、かなり異色でなおかつホラー度合いの強い作風が高を奏し、今だに根強いファンがいるくらいだから。ちなみに俺もその1人。未だに後述する「メジューサ」のシーンは幼少期に初めて観て眠れなくなったくらいトラウマシーンで深く、本当に深く脳に刻まれている。まぁ、詳しくはオリジナルをレビューした暁に長々と語りたい!!

で、内容的には基本プロットはオリジナルを踏襲している感じなんだけど、1984年のオリジナルから約23年後に作られたとあって、やはり魔法描写がよりマジカルに、そしてよりアニメチックに演出されている。

例えば、今作のゲストヒロイン美夜子と悪魔との戦いのシーンでは手から緑色のレーザーソードみたいな魔法で戦うし、敵の悪魔たちもバンバン魔法を繰り出す、ここら辺はキッズたちが観ればそれだけでテンションブチ上がる感じなんじゃないだろうか。

個人的には魔法の世界に入ってからの序盤でのび太が参加する草野球でのシーン。「えーと、野球のルールとは?」ってくらい、ボールをいくつもの手から飛び出るグローブでキャッチしたり、同じくいくつものバットでカキーンカキーンカキーン!と打ちまくる感じがなんかたまらなく爽快感があって良かった。

そして、今作1番のオリジナル版との違いは上述のみんなのトラウマ「メジューサ」の扱い。オリジナル版だと見るからにおどろおどろしいモンスターそのまんまな見た目でドラとのび太を追っかけた挙句に石化するという下手したらラスボス、デマオンよりも怖い存在だったわけだが、今作だと見た目自体はどちらかというと悪魔というよりも悪い精霊という感じの人間に似た見た目をしており、まずここが異なる。扱い自体も局所的に飛び出る感じではなく、デマオンの右腕というか幹部クラスポジとして序盤から登場しており、美夜子とも因縁めいた関係性を感じさせる。

それもそのはず(以下ネタバレ)!

実はその正体は幼くして病魔に罹った美夜子を救うためダークサイドに堕ちることになった美夜子の母親の変わり果てた姿だったのだ!これは当時少なからずわかったときは衝撃的だった!!

ただ、肝心の悪魔の魔の手から逃げおおせたドラとのび太を追っかけるシーン自体はメジューサの見た目がオリジナル版よりも怖さが薄れてしまっていることも相まってそれほど印象的なシーンじゃなくなっちゃってるのが本当に残念。まぁ対象が子どもということもあるからこの程度に緩和されること自体は正しいのかもしれないけど、あの当時の子どもだった大人からすればこれは本当に物足りなく、マジで「これじゃない!」感が半端ない。

あと、このメジューサの声を当ててるのが、久本雅美なわけで、やっぱちょっと無理があるというか、母親とメジューサの声をつかえ分けなきゃいけない極めて難しい役回りかつ重要なポジなわけで、ここは本職の上手い声優さんを起用すべきだったのではないだろうか。

全体的な演出もオリジナル版とは程遠い薄味テイストで、魔界での冒険パートでのメジューサに次ぐトラウマ、人魚やツノクジラのパートがそっくりそのままオミットされちゃってるし、デマオンとの戦いに敗れて敗走するパートでの生き残りをかけて「石ころ帽子」でハイドしながら逃げなきゃいけないパートもスリリングさが全然演出できちゃいねぇ。

あと、こういうシーンって子ども向けだからしょうがないけど、やっぱ生き残るのはドラとのび太じゃなきゃだめなんかな。例えばあと1人、スネ夫とかジャイアンとか逃げれた方がリアルで意外性があって面白いと思うのだが…まぁ、難しいか。

あとオリジナルでも感じたことだけど、今作圧倒的な絶望感の中で繰り広げられる戦いの果てに生き残ったドラとのび太も石化されちゃった挙句に反則的に登場するドラミの存在。まぁ、他の作品ではあまり見られないドラミにスポットを当てるという意味では良いのかもしれないけど、やっぱドラかのび太の力だけで状況を打開してほしかったかなぁ。

ただ、監督がシリーズでは初の女性ということもあるのか、美夜子としずかちゃんとのシーンで髪を伸ばす伸ばさないの会話シーンがあって、それがデマオンを倒して、世界に平和が戻った後、伏線回収されるくだりはまぁ良かったかな。

まぁ、でもせっかくやるなら、もっとホラーチックに今の子どもにも、そしてあの当時の子どもたちにもトラウマを残すくらいのリメイクを作ってほしかったかなというのが正直な感想。多分だけど、手を出すのが早すぎたんだと思う。今作でも小説家の「アマルフィ」シリーズなどを執筆した小説家、真保裕一を起用してるけど、最近の劇ドラみたいに今実力のある作家、例えば本職のホラー作家とかが演出したらもっと違うリメイクになっていたんじゃないかと思うと…やっぱ早すぎたんだと思う。

絶対無理だけどアリ・アスターとかやってくれないかなぁ…。まぁ、それだとドラえもんじゃなくなっちゃうか笑。
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