無法者のガンマンが、思わぬ巡りあわせから善行を行うに至るという「嘘から出た実」を描く西部劇で、胸にジーンと来るとてもいい話だった。アラン・ラッドの甘いマスクの孤独なガンマン役が、本作の後に主演する「シェーン」の先取りになってた感じ。チャールズ・ビックフォードに見覚えがあり、調べると「ミネソタの娘」「大いなる西部」などいくつか出演作を観てた。撮影が「旅愁」のチャールズ・ラングとのことで、雄大な風景がテクニカラーで美しく撮られてたのが印象的。監督のルドルフ・マテが、「裁かるるジャンヌ」「孔雀夫人」「邂逅」「生きるべきか死ぬべきか」などの名作の撮影を担当したと知ってびっくり。
懸賞金をかけられて当局から追われる身のチョヤが、ある男に100万ドルの儲け話を持ち掛けられる。その実行計画は、テキサスの裕福な牧場主のラヴァリーの息子が幼いころに誘拐されて行方不明となっていることを利用し、その息子になりすまして大牧場の跡継ぎに収まろうというもので、息子の証拠となる肩の痣を刺青で偽装(=タイトル)してまんまと潜入に成功する展開。チョヤには身寄りがなく、何も失う物がないことで行き当たりばったりの生き方をしてるんだけど、牧場の家族に暖かく向かい入れられ、妹のルースの真っすぐな心に感化されたチョヤが改心するところに、本作の作り手の人間性に対する信頼を見る。
チョヤがルースに真相を告白し、さらに行方不明の息子がメキシコの山賊ルブリスに引き取られて存命であることを知ったチョヤが、本人に真実を告げに行く決死の行動に心打たれる。ここからチョヤがルブリスとラヴァリーの両方から命を狙われる身となり、西部劇らしいスリリングなシーンの連続にハラハラするんだけど、最後はちゃんと事態が収拾して大団円となる(ちょっと「朝が来る」を思い出す)。全てが終わったチョヤが一人寂しく牧場を後にしようとするのが一瞬「シェーン」を思わせたけど、ちゃんといい感じの幕切れになっててほっこりした。