長谷川一夫氏の出演作300本記念の作品ということだが、なんのなんの、脇を固める他の俳優陣も、なんと豪華なこと。
市川崑といえば光と影の巧みな使い方にいつも唸らされるのだが、今作はそれの極みではないだろうか。
復習に燃える雪之丞演じる長谷川一夫の眼光だけが浮かび上がるカットには、監督、スタッフ、長谷川氏それぞれのこの作品にかける並々ならぬ意気込みが感じられる。
昼太郎が貧しき家の門前に盗んだ金品を置いていくシーンで、なぜかお洒落なジャズが流れる。
なにかと思えば八木正生氏が挿入音楽担当の一人。
当時のさまざまなジャンルの名うてのクリエイターを、これでもかと使っていて見どころ満載といえる。