「ここでこう言っていることは後の重要な場面の伏線」みたいな見せ方を多用するところはいつものクリストファー・ノーラン節。
なので、この監督の作品は何度か観直して、整理してからようやく、いろいろ理解できる。
… のだけれど、今作にはとてもとても、分かりやすい台詞が一つあった。
「爆弾は、不特定多数の一般市民を犠牲にする。
ドイツが降伏した今、日本にこれを落とす意味はない。」
… ロスアラモスでのトリニティ実験で大喜びして拍手するオッペンハイマーや他の科学者、軍関係者などの姿を観て、今までの映画で流したことのない種類の涙が溢れた。
この実験の成功がその後、どれほど甚大な殺戮をすることに繋がるのか、それを知っている被爆国の我々だからこそ、このやり場のない感情を抱くのだ。
その原爆を作った人間たちのことを少しでも知ることができて良かった… か。
今年一番の、「良い」とか「悪い」とかではない作品になりそうだ。