Jun潤

線は、僕を描くのJun潤のレビュー・感想・評価

線は、僕を描く(2022年製作の映画)
3.7
2022.11.05

横浜流星主演×清原果耶出演。
水墨画とはまたユニークな作品がきたなと。
そして何気にキャストが豪華。
『ちはやふる』シリーズは未視聴なので同じスタッフというのはよくわかりませんが、青春と強い顔面の匂いを感じ今回鑑賞です。

とある水墨画を目にして涙を流す大学生の青山霜介。
過去の出来事から無気力に生きていた霜介だったが、この水墨画と、力強く筆を走らせる篠田湖山、そして千瑛との出会いを機に、彼の人生に大きな変化が訪れる。

青春、、うーん、青春、かぁ……。
10代の登場人物、学校や職場が舞台という作品ではなく、あくまで水墨画という芸術の世界を舞台にしていたためか、観る側の日常に即するようなストーリーには感じられなかったことが一つあるかと。

しかし今作、何がいいって「音」と「目」がいい、とてもいい。
「音」については、作品を彩るBGMだけでなく、突如訪れる無音、からの和紙の上を筆が走る音、その緩急がとても強く印象に残りました。

そこに「目」の描写が掛け合わされることで、目の前の紙、自分が描く線に無我夢中で向き合う強い芯を持ったキャラクターが描かれていました。

芸術分野には造詣が深くありませんが、作中で言及されていた、画の向こうにある命を描くということ、それを求める霜介と千瑛の姿がよく描かれていました。
特に、倒れた湖山の身を案じる千瑛に対して不幸は待たずにやってくるということを霜介が教え、千瑛を連れて過去に向き合うことで、心の空白の中に確かに存在する命を感じた霜介と、互いに高め会う2人の姿がとても良かったですね。

今作のような作品だけでなくアクション映画にも言えることですが、吹き替えと俳優本人の演技の線引きについて、今作ではカメラワークを工夫していたり安心と信頼の役に対してストイックであろうキャスト陣の演技でもって自然に見えました。
しかし、後半に差し掛かると明らかに線を描く場面が減ってしまっていたことは、やはり気になってしまうよなぁという感じ。

どうも最近嫌な奴かクセの強いキャラクターが出てくる作品を見ていたためか、登場人物みんないい奴!みたいな今作に少々ギャップを感じてしまいましたが、たまにはこうした作品で心のデトックスを図ることも大事ですね。
Jun潤

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