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仕掛人・藤枝梅安2のIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)
4.3
傑作。どうしよう、メチャクチャ面白かった。鑑賞前は「前作が面白かったから、今回はちょっと落ちるのかなあ…」なんて思いながら劇場へ行ったら、前作超えてた。のめり込みすぎて完全に地蔵化。瞬きしてないかも。話が濃密すぎて時間の感覚も狂いました。上映時間が119分だったようですが、良い意味で長く感じました。
豊川悦司の藤枝梅安、最高。なんか人間味が出たというか、前作より良かったです。「梅安=ダークヒーロー」と言えばなんとなく収まりいいように感じますが、そんな単純なヒーロー像ではなく、「因果応報」なのか「人の性」なのか、なんというか、日本人が持つ独特の価値観や死生観が凝縮されつつ、ひどく人間臭さを残すヒーローで、良い人で魅力的だけど爽やかな朝が全く似合わないというか…なかなか一言では言い表せないヒーローでした。(なんのこっちゃ)
彦さんは情に厚い良い人だけど、やる時は非情で容赦なく、暗殺者としては最強かも。で、彦次郎演じる片岡愛之助の顔がいい。ジャニーズのような惚れ惚れするような二枚目じゃないし、人が良さそうな優しい顔つきでもないけど、何かを秘めたような顔というか、覚悟を決めた顔というか、顔がいい。
一作目のゲスト出演は、天海祐希、柳葉敏郎、早乙女太一、板尾創路など、豪華だなあと思いましたが、二作目のゲスト出演もかなり良かった。佐藤浩市、椎名桔平、石橋蓮司、一ノ瀬颯。この一ノ瀬颯という若い役者さんは初見でしたが、大柄ながらスラリとした男前で、カッコいいし殺陣も凄い良かったです。石橋蓮司はやっぱ貫禄が凄い。本業はヤ●ザなの?いうくらい凄い。良い人と悪い人が共存してて、もはや怖いは。あと、昭和の伝説ドラマ「おしん」の小林綾子が出てたみたい。えー!全然分からなかった。で、レギューラー「おせき」役の高畑淳子。最高で完璧でした。出てきた時は観てる方も気が休まりました。
映画の内容は、面白すぎたので何も言いません。興味あれば映画館で確認してください。チャンバラアクション時代劇ではないので、その辺期待すると物足りなく感じるかもしれませんが、とにかく面白い。あー、ひとつだけ。チャンバラなら、燃える家屋での殺陣シーン、引きの画をもう一回じっくり観たいです。
監督されたのは、河毛俊作という方で、もともとはドラマがメインだったようです。ドラマかあ…全然見ねえや…。ドラマなんて「マンダロリアン」か「ストレンジャー・シングス」しか見ないは!なんでもっと早くから映画作らないの!ウソ!すいません!まあ、素晴らしい監督さんだなあと思った次第です。面白い時代劇を量産して欲しい。
映画に不満があるとしたら、今回は食いもんが少なかったことでしょうか。でも、梅安がうまそうに日本酒飲むんすよ、ぐいっ!と。彦さんのおにぎりも、ちょっと旨そうなんすよ。たくあんも添えてあって。あと、「エンドロールで帰っちゃ駄目だ!」とあれだけ心の中で言ってるのに、帰る人おるし。案の定おまけ映像あるじゃないですか。喜び過ぎて思わず拍手しかけたは。あぁ!もうネタバレなりそうなので何も言わない!人って身勝手ですからね〜。
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