こさむ

ザリガニの鳴くところのこさむのネタバレレビュー・内容・結末

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

湿地帯でチェイスという1人の男が殺された。
容疑者として逮捕された「湿地の娘」…クラークという女性。
そして彼女を弁護することになったトム・ミルトンという老紳士。
クラークは、自分を助けようとしてくれるトムに自身の生い立ちを話し始める。
ーーーー
クラークは愛する家族からカイアと呼ばれていた。だが暴力者の父によって家族は崩壊していった。
自分を置いて家を出ていく母と姉。
兄のジョディも家を出ていくが、最後にカイアに一言伝えていく。
「危ないときは、走ってザリガニの鳴くところへ行くんだ」
父のもとに1人残ったカイア。
学校に行くと酷く侮辱されたので、一度登校しただけでやめてしまった。しばらく父は優しかったが、母から届いた手紙を読んでまた乱暴者に戻り、しまいにはカイアを残してどこかへ消えた。
家族を失い1人で生きていかなければならなくなったカイアは、自分に良くしてくれる黒人夫婦の店に物を売って食料を得ていった。
カイアは幼少時に出会っていたテイトと再開し勉強を教わる。
そして生物学にのめりこみ、「母が子供のもとを去る理由」を求めた。
カイアとテイトは恋に落ちるが、テイトは大学に受かりカイアのもとから離れる。
「一年後に必ず戻る」と約束したテイトだが、1年経ってもカイアのもとに戻ってくることは無かった。
テイトの影を吹っ切るように、カイアはチェイスという青年と付き合い始める。
チェイスはカイアの前では耳障りの良いことばかり言ったが、実際は嘘つきで乱暴な浮気者だった。
彼に家の場所を教えてしまったカイアはその後苦しむことになる。

チェイスがクズすぎて観るのが辛かった。
このまま暗い結末へ向かっていくのかと思ったけど、カイアの無罪が確定して安堵した。

…ではチェイスの死の真相はなんだったのか?
最後で明らかになったけど、「カイア幸せに生きられて良かったね」という気持ちは変わらなかった。
カイアは「湿地の娘」と蔑まれ、最初から味方してくれたのは黒人夫婦だけ(特に奥さん)だった。
後から自分の本を読んだ兄に再会したりテイトが戻ってきたりもした。
けどカイアからしたら彼らは薄情者・裏切者なので色々思うことあったろうなと感じる。

町が自分を排除しようとするなら、生きるために殺すしかない。
カイアは間違っていないと思えるので恐ろしさはなかった。清涼感すらあるラストだった。
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