設計士あーさん

ザリガニの鳴くところの設計士あーさんのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
2.5
サスペンスでした。美しい自然に美人な主人公。

ミステリーは探偵と共に犯人を追う。
サスペンスは視聴者に犯人が序盤で明かされがちで本作も開始15分になれば「この女性が犯人」と分かるようになってる。
黒人夫婦の奥様はクリスチャンであり主人公に多くの施しをもたらす。しかし羊飼いは愚かなので本質を見ることが出来ない。弁護士もまた、彼女が「可哀想な湿地の女」「不当に扱われている」眼鏡を外さない。一体何のための宗教なのか。
人が持つ「偏見」「こうあってほしい」という考えをあらゆる角度で批判的に描かれている。
湿地の女は自然を愛し、人に誤解こそされ美しく生きてほしい。
湿地の女は世間のしがらみとは無縁そうであり腹が立つ。薄汚い身なりに不釣り合いな美貌。こいつは必ず転落人生を送るべき。

母は何故彼女だけを置いていったのか。本当に彼女を迎えに来ようとしていたのか。
答えは意図的に置いていった、と考える。
彼女の中に夫の暴力性を見たのだ。娘の中に、夫の強かさを見出したはずだ。
そんな自分の「偏見」から目を背けるために母は死ぬまで「娘を思っている」とアピールしていたが、事実は彼女は本当に捨てられたのだ。

主人公は父親そのものだった。彼が軍にいた時のバッグを、日々の生活で使っていたのはそれこそが彼女にとって戦いの日々だったからだ。血は泥水より濃いのだ。

【ザリガニ定義】
皆さん多く考察されていてどれも納得してしまう。私の考えたザリガニはかなり無理があるので半分妄想である。

父に殴られ沼地に落とされた彼女こそがザリガニであり、ザリガニの鳴くところまで逃げるというのは「泣いても父に怒られない場所まで逃げろ」だったのかもしれない。鳴かないザリガニと泣けない彼女。