素晴らしかった。増える高齢者/介護問題というテーマでは昨年の「PLAN75」と重なるところはあるが、こちらはサスペンス的なエンタメ要素があってあれ程の息苦しさはなく、重厚なテーマながら非常に高い満足感が得られた。どうしようもない現実を狭間に、同じ問題を抱える検事と犯人の奇妙な繋がりにただ涙…。
自分も不安に思いつつ、社会が「見たくない」ものとしている凄惨な介護現場をまざまざと突き付けられ、自分事で色々考えてしまった…訪れるであろう介護する側とされる側。本作で言う「安全地帯」に行くために今働いているようなものだなと。。そこへ行けないと誰も助けてくれない「穴」に落ちる。介護現場にいない人間からは絶対に分からない世界を、松ケン迫真の演技もあり、垣間見た気がする。だからと言って他人に命を奪われることが救いとは決して思わない。ただ現状の社会構造では人間性を欠くような危険思想が出てきてもおかしくないとは思う。
