家族の絆は呪縛にもなる。
それは殺人なのか、救いなのか。
これから訪れる超高齢化社会に向けて全日本人が観るべき映画でしたよ。
劇中でも言ってたように、介護殺人は毎年20~30件は起きてたとのこと。
それがコロナ禍で増加し、更には男性よりも女性が殺す数の方が多くなったのだとか。
それこそ坂井真紀演じる女性のように育児にも介護にも仕事にも追い詰められて限界を迎える人も現実にいるんだろうな。
人を殺すことはいけないこと。
それはサイコパスでもない限り誰もが分かっているけど、そうせざるを得ない程にまで追い詰められる社会。
たぶん多くの人は長澤まさみ演じる主人公のように安全地帯からモノを言うのだろう。
しかし松山ケンイチ演じる介護士の過去がもう切なすぎて泣いたし、自分があの立場になったらどうなるか分からない。
松山ケンイチはもちろん、柄本明の演技が凄まじかった。
例えば北欧などは税金が高い分、福祉が手厚いわけだけど、日本はどんどん税金が上がる割に福祉やら年金がどんどん改悪されていく。
そして国からも見捨てられた人達は身動きが取れなくなって、究極の選択をしてしまう。
ジャケには殺人犯VS検事とあるけど、そんな対決よりも介護のシーンが辛すぎてもう観てて苦しかった。
今は関係ないと思ってる若者たちも、この高齢化社会に進むスピードを考えたら明日は我が身かもしれない。
映画でも一瞬映されるけど、現にヤングケアラーと呼ばれる人達も増えている。
去年公開された「PLAN 75」と合わせて観ると、より深く刺さると思う。