トニー・レオンにはビシッとスーツで決めててほしい、ブエノスアイレスみたいなブリーフ姿なんて見たくない、という話で大盛り上がりだった花様年華は、今までのウォン・カーウァイの中で一番好きだった。これまでもそうだけど、ウォン・カーウァイ、自分の映画要素は決して崩さずに、でもその殻に閉じこもらない挑戦的な姿勢が毎度見えてすごいな。あまりに淡々と洗練されすぎていると思うくらいの前半から一転、互いのパートナーが不倫関係にあると言葉にした瞬間に、映画に音楽が導入されるのはまあ見事。2人が会うホテルは一線を越えるか越えないかの待合室という意味でもレッドルームだと思う。