平田一

レイモンド&レイの平田一のレビュー・感想・評価

レイモンド&レイ(2022年製作の映画)
4.5
“親父に振り回されてきた、くたびれ兄弟の物語”


Apple TV+によるオリジナル長編映画。父親の葬式で再会した異母兄弟。そんな二人の悲喜こもごもを優しいタッチで見つめてく。監督は『アルバート氏の人生』のロドリゴ・ガルシア(脚本も兼任)。イーサン・ホークとユアン・マクレガーによるダブル主演。


ミニシアター映画のような感触がそうなんですが、この映画知ってる人って今どれだけいるんだろ? それぐらいに非常に地味で、淡々と進みますが、ハッキリ言って予想を越える完成度で素晴らしかった。

主役二人の意気地の無さやみっともないところとか、そこをとても愛らしく描いていたのが良かったです。とはいえ甘くは描かずに、人間ってそういうとこあるよね、な視点なので、感傷を結果的に上手くかわしていました。ボクはこの監督さんの映画は初めてなんですが、人間ドラマの扱い方が非常に良い距離感です。コミカルだけどちょいちょいドライ、かといって厳しくない。オフビートなドラメディになってて面白かったです(実はそのオフビートがラストで少し関わりに?)。

基本的に派手な描写も音楽も無いんです。それじゃビール飲んでる時は寝ちゃうかもって構えていたら、最後まで訪れず、ひたすら集中して見れて、昨今の情勢もあって、癒しになれました。こういうテーマで魅せれるって結構難しいのにです。

自分も昔葬儀の仕事に関わってた人間なので、思いがけない懐かしさに浸れたことも良かったですし、とてもラストも爽やかなので、疲れた時にオススメです!
平田一

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