ピリッとスパイシーに人生のオマケを描いた作品ともいえる。
狂気じみた女優・ジグザグを彼女に持つ映画脚本家の青年・加藤がコンビニで遭遇する事故をきっかけに異世界に迷い込み、そこでのコンビニのオーナー夫婦(南雲と恵子)との共同生活やその妻との情事を通して倒錯的に進行する物語。
地下鉄のザジ等でもそうだが一人だけまともで他の登場人物全員がおかしい人物という舞台設定になっている。現実世界、異世界に関係なく脚本家の青年以外は全員おかしな特徴を持った人物たちで、ゆえに現実と異世界の境界が曖昧になり鑑賞者を混乱に陥し入れる構造になっている。
フェリーニ監督の『8 1/2』のオマージュとも取れるシーンがあり、主人公が映画作品の脚本家で旅先で執筆するという設定も似ている。
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主演の成田凌さんと前田敦子さん、三木聡監督の舞台挨拶付き上映を鑑賞。
成田凌さんは劇中でも履いていたのと似た(同じ?)黒のキャンバススニーカーにサーモンピンクの化学繊維なセンタープレスのスラックス、黒いノーカラーボタンダウンシャツの上にグレーのジャケットとさらにその上にマストロヤンニがホテルの部屋にルームサービスが来た時に羽織りそうなグレーのダイヤ柄の長袖ガウンという冬の装いをしていた。劇場内はすごく蒸し暑かったのに涼し気な顔をしていた。
ひょうひょうとした長身ながら人懐っこい雰囲気の成田凌さんとは異なり、前田敦子さんは人を寄せ付けなさそうなオーラを纏っていた。客席にも目配せすることが少なく緊張しているようにも見えた。AKBのセンターとは思えない感じ。