お笑い芸人 ウーマンラッシュアワー村本大輔さんがコロナ禍前に単独渡米してスタンドアップコメディに挑戦し、後にコロナ禍になり、そしてコロナ禍後までの約5年間を追ったドキュメンタリー作品。
渡米してスタンドアップコメディに挑戦するシーンは前半4分の1くらい。残りは国内で村本さんの強さ、弱さ、物事の考え方や取り組み方、親子の絆といったことにフォーカスしてヒューマンドラマに仕立てられていた。
村本さんがテレビや劇場で見せることのない内面が優しい眼差しで映し出されていて非常に胸を打つ内容であった。想像してたのと全然違ってすごく感動的でぐっとくる内容の作品だった。
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日向史有監督によるトークイベント付き上映を鑑賞。後半は質問タイムがあったので僕も質問をした。
ポスター等のメインビジュアルが赤背景のなかに村上さんがマイクに向かっている写真であり、アイ・アム・ア・コメディアンというタイトルとテレビから消えた男というサブタイトルから、全編を通して米国のスタンドアップコメディに挑戦する内容かと思いきや、本作は村本さんの家族との交流などの裏の表情が多分にあるヒューマンドラマであり村上さんという一人の人間の生き様に胸を打たれた。
本作は5年間かけて膨大な映像を記録し、後に監督がシーンをピックアップし編集してヒューマンドラマに仕立て上がったと思う。
編集次第では村本さんと取り巻く芸人さんたちのインタビューを多用して昨今のお笑い業界を描いたり、コロナ禍での村本さんという一人の芸人の奮闘を描いたり、ヒューマンドラマじゃない編集の仕方もあったと思う。
そういう様々な可能性や方向性があるなかで、監督はどうしてヒューマンドラマに仕立てあげたのか質問した。
日向監督は村本さんのお笑いに対するひたむきな姿勢に惚れ込みいろんなシーンを入れたつもりであり、必ずしも家族ドラマやヒューマンドラマ仕立てを狙ったわけではないとのこと。
もしかしたら日向監督は意識せずともヒューマンドラマなドキュメンタリーを作成してしまう才能をお持ちなのかもしれない。