Yukinobe

リバー、流れないでよのYukinobeのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
3.8
あらすじがちょっと馬鹿らしくて好みだったので調べて見たら、なるほど、ヨーロッパ企画ということで納得。そりゃくだらない設定を最大限活かすわけですわ。
僅か2分間という短い時間(実はそこそこ長いのかも)を延々とループするということで、そんなに移動も行動もできないなかどうするのかなと思っていると、成る程、記憶は引き継がれるという面白い設定が入っていました。ということは実質時間は流れているようなものなので、物語はするすると進んでいきます。
逆に、2分ごとに同じ立ち位置(初期位置って言い方が面白ですよね)にいたり、繰り返されることを理解されないで困り果てたり、果てはどうせ元に戻るならと普段できないことをやったりと、その2分間で様々なシチュエーションを生み出していく技はさすがだなぁと感心しました。
上述したようなアイデアもそうですが、繰り返される2分間を活かした物語も中々良い感じでまとまっていました。それぞれが抱えた悩みや迷い、それもちょっとしたモヤモヤっとしたものが少しずつ前に進んでいく。設定を活かした「時間を動かしたい人」「前に進みたい人」っていうセリフもとても効いていたと思います。
「誰もがちょっとずつ色々と後悔している」「ちょっとだけやり直したいと思っている」と感じさせる演出は、そうだよなぁってしみじみと共感させるものがありました。うん、そういうこと何気に毎日考えていますよ。
最終的な「なぜ2分間が繰り返されるのか?」のオチもくっだらなくて素敵ですよね。あほくさいのに、未来は明るいって希望のあるラストはこの映画にとても合っていて、素敵な締め方だったと思います。
ちょっとだけ苦言を呈するなら、折角のアイデアに対して実は物語の軸が割とオーソドックスなことと、中盤以降の「2分間を繰り返すことを望むことの悪い一面」がややとって付けた感があったかなぁと感じたことでしょうか。
とにもかくにも、とても面白い映画です。低予算で小規模なものですが、ここまで面白いものを作れると示してくれたと思います。邦画の実写は〜ってよく言われてしまいますけど、知られていないだけで面白い映画って沢山あるんですよね。
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