ボブおじさん

CUBEのボブおじさんのレビュー・感想・評価

CUBE(1997年製作の映画)
3.8
上映時間90分の密室不条理サスペンス。外部と遮断された密室というワンシチュエーションからの脱出物として、その後の「ソウ」などに続くブームを作り出した作品ではないだろうか。

幾つもの真四角の部屋が幾何学的に連なった謎の空間に、突然放り込まれた複数の見知らぬ男女。理由もわからぬ不条理な状況下に置かれた彼らが、不安と恐怖と闘いながら脱出を図る様子をスリリングに描写する。

無名のキャストばかりの低予算作品ながらゲーム感覚満点の展開が、謎解き好きの挑戦心をみごとにくすぐり成功した。

だがこの映画を謎解きミステリーとして見ていくと肩透かしを食らうこととなる。誰が、何の目的で、なぜ彼らを選んだのか?
そしてこの部屋の意味は?それらの問いは宙に放られたまま、物語は淡々と進んでいく。

その曖昧さを残しながら、やがてこの金属製キューブの無機質な空間の中で、極めて人間的な疑心暗鬼が生まれ、人間の剥き出しの本性が露呈する。

ワンシチュエーションの脱出物の先駆けとして評価すべき作品ではあるが、個人的にはグロ描写の要素を無くして、知的な脱出ゲームと不条理サスペンスだけで持っていけたようにも思うのだが。