ボブおじさん

マッドマックス:フュリオサのボブおじさんのレビュー・感想・評価

4.0
「マッドマックス」シリーズは、第1作目から全て劇場で鑑賞しているので、もうかれこれ45年の付き合いになる😅

ジョージ・ミラー監督が自分の創りたい世界観をその時々に与えられたバジェットの中で常に作り続けてきたのが「マッドマックス」シリーズだと思うが、前作が第3作から30年振りということもあり、さすがに盟友のメル・ギブソン主演という訳にはいかず、フュリオサという新たなヒロインを登場させ「マッドマックス」の世界観に〝フェミニズム〟という新たな息吹をもたらした。

シリーズ5作目となる本作では、肝心のマックスは登場せず、第4作で何の前触れもなく突如登場し、観客の心を鷲掴みにした〝フュリオサのオリジン〟を辿るスピンオフとなっている。

第1作目で度肝を抜かれてジョージ・ミラーとメル・ギブソン演じるマックスの大ファンになった自分としては年齢による主演の交代は致し方ないとしてもマックスの出ない「マッドマックス」なんてあり得ないという気持ちが強かった。この辺りは「〜怒りのデス・ロード」から見始めたファンとはだいぶ温度差があると思う。

だが本作を観て、このSAGA(物語)もまたジョージ・ミラーが描きたかった「マッドマックス」の世界観の延長線上にあることを理解した。

「マッドマックス」で描き続けられてきた、法も倫理も、いや神すらも存在しない〝狂った世界〟で繰り広げられたアナザーストーリー。前作の「〜怒りのデス・ロード」でマックスと交差するもうひとつの線を遡った本作は、間違いなく過去の「マッドマックス」と同じ世界を違う視点で描いている。

前作が監督がやりたかったアクションを全部詰め込んだ上に、過去作のセルフオマージュと過去の名作映画のフォーマットを巧みに利用した〝全編クライマックス映画〟という画期的な作品だった為、突然現れたフュリオサが一体誰なのか?何故イモータン・ジョーへの反乱を企てたのか?彼女の左腕は何故無いのか?〝緑の地〟は本当にあるのか?についての説明もろくにされていなかった😅

その〝緑の地〟から始まる本作は前作の謎を補完する役割も兼ねている為、やや説明的に話が展開する。それによって前作での疑問が次々と解けていくのだがフュリオサという1人の人物の半生を描いているので、前作の様な〝映画の作りとしての意外性・斬新性〟は弱い。つまり前作で感じた、今までに観たことのない体験という要素は本作では見られなかった😢

それでも若きフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイやバイカー軍団のリーダー役のクリス・ヘムズワースのキャラクター設定は魅力的で〝親の敵討ち〟という古今東西、最もありふれた話をド派手な映像と胸が高鳴る爆音で〝あの〟世界観の中に引き摺り込んでくれた。作品としての好みはあろうが観るなら是非劇場で😊