とうがらし

別れる決心のとうがらしのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
3.7
2022年カンヌ国際映画祭 監督賞 受賞

パク・チャヌク監督最新作。

転落死した韓国人の夫は、山を好み、
中国人の妻は、海を好む。
あなたの愛が終わるとき、
私の愛は始まる。
刑事は、夫殺しの容疑で、彼女を尾行捜査するが、心の距離が近づきすぎて、刑事と容疑者の境界を越える話。
ヒッチコック映画と日本映画のオマージュを散りばめたロマンス・ミステリー。

主演は、「殺人の追憶」(ポン・ジュノ監督)、「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」(ホ・ジノ監督)のパク・ヘイル。
「ラスト、コーション」(アン・リー監督)、「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」(ビー・ガン監督)のタン・ウェイをファム・ファタールに迎える。
芳醇な大人のロマンスはなかなか良い。
ミステリー性はいまひとつ。
物語にスマホやスマートウォッチがふんだんに盛り込まれて、せっかくの高い芸術性を弱めていた。
ガジェット機能の描写が、物語上必須だとしても、もっと脚本を研ぎ澄まして、「英雄の証明」(アスガー・ファルハディ監督)のように、必要最小限に抑えるべきだっただろう。

しかしながら、パク・チャヌク監督の演出は、知的で上質。
特に、場面転換は、ハイセンスで唯一無二のもの。
オペラ座でクラシック音楽を堪能するような深い味わい。
鑑賞直後よりも、しばらく経過した後の方が印象に残り、美しい余韻がある。


予告編
https://www.youtube.com/watch?v=9aMHyTqvIvU
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