パク・チャヌクの作品だと奇抜さととんでもないどんでん返しを期待してしまうが、今作はどちらかというと上品さと語り口を重視している気がした。クセのある撮り方には変わりないが、細かい伏線や象徴な部分まで集中して見ていないと登場人物との距離感が出来やすい。
冒頭だと「殺人の追憶」みたいなコメディ混じりの探偵物語だと勘違いしてしまいそうだが、少しずつ歪んだ愛の物語に切り替わっていく感じが魅力的だった。70年前のヒッチコックが撮りそうな物語なのに、パク監督のクセと独特な演出のおかげでどの時代にも存在しなそうな作品になっているのが凄い。ただ、プロットが時には複雑だったりして、あまり要らなかったサブクエで意味もなく重たくなっている感はある。品を重視し過ぎていて感情移入が置いていかれるというか。
