このレビューはネタバレを含みます
個人的には昔のチャヌク作品の方が好み。
本作はキャスティングが完璧で、これぞまさにファムファタール‼︎
妖艶で一つ一つの表情や仕草が醸し出す超絶な色気をまとった演技、それを最大限効果的に狙ってるカメラワーク、その他この映画のためにあるようなロケ地の良さとか…際立っているな
ただ…監督自身も通なファンも「愛」が物語の主軸とは言っているが、抗うことができずに溺れていくと言えば案外よくある話
ジャケット写真が実に象徴的で、結婚指輪をつけていながら、手錠によって繋がれて重ね合う二つの手…内容がそこに凝縮されている。(さりげなすぎて逆に感服した)
でも「愛」というテーマならば、ギドクの方が限界突破して狂気じみてるから物足りなさを感じてしまう。
それに今作は朝鮮問題など社会的なテーマも組み込んでいるが、日本人にはピンとこないし、変な韓国語についても分かるわけないので、韓国人とは見方が自ずと異なるはず…
なので、その分醍醐味は半分すると思いきや、そうはなっていないのは今作最も捻っているスマホを使用した翻訳による時間差のある会話と、そのもどかしさが体現されているからだろう。
これだけは超現代的でリアリティがあるし、1番評価すべきポイントなんじゃないかと思う。
カンヌっぽさもあるので『JSA』などにくらべて、容易に薦めやすい作品ではないが…
次は今作ばりのクオリティで、洗練された復讐劇を撮ってもらいたいものです