KOH

逆転のトライアングルのKOHのネタバレレビュー・内容・結末

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

汚い!狡い!臭い!ウザい!全部褒め言葉だ!ありがとう!

ブラックコメディ特級品をオストルンドが届けてくれました。今年ベスト10に入るであろう超快作。
作品のテーマとして、モデル業界・男性性女性性とその役割・地位と権力・ジェンダーと人種...と複数導入している割に、それらを上手に表現しているのはまるで"捕獲・下処理・火起こし"すべて自ら行ったアビゲイルそのものだと感じた。

パート1から冒頭のロングテイク、ファッションショーの"赤"が目立つ美しい絵作り、エレベーターでのドリフの様な喧嘩劇...すでに心を掴まれていたのだが、
パート2はすべてが最高だった。乗組員の朝礼から豪華乗客たちの紹介、キャプテンズ・ディナーは観客大爆笑。久々にシアターでゲラゲラ笑ったいい経験。あのディナーを境に船内の人々のトライアングル、ヒエラルキーがひっくり返る点が滑稽で且つ見事。
パート3は邦ドラマ『バイプレイヤーズ』シーズン2のような無人島コメディ。実際に島に閉じこもって撮影をしたという背景から、かなりリアルな演技が引き出されていたのが素晴らしい。動物を狩るシーン、とても見てはいられないが、一発殴った時の男性陣の唸りは、「こいつらしっかりホモ・サピエンスじゃん!」と人間の根幹にある感情が込み上げてきた最高なシークェンス。

アビゲイル役ドリー・デ・レオンの演技が見事にはまっててとても良かった。島で大きく出てキャプテンとなった後も、ほぼ無価値となったロレックスを受け取って次の日に着用していたり、リゾート地を見つけ嬉しいはずが、折角手に入れた権力を放棄する事を渋ったり...とても人間的な演技が上手な方でナイスキャスティングだと感じた。

最初から最後までチョコたっぷりな素晴らしい映画でした。

R.I.P. Charlbi Dean.
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