先週はおっぱいがいっぱいな映画を観たけど、今回はゲロとウンコが洪水のように垂れ流しの映画だった。前年の『TITANE/チタン』といい、パルムドールは変態映画が大好き。
風刺要素の強い内容でいえば去年観た『ザ・メニュー』も個人的には年間ベスト級に好きな作品になったので、今まで意識してこなかったけどなかなか自分の性に合っているジャンルなのかもしれない。
140分以上ある作品だけど、自分の体感では100分くらいだったんじゃないかというくらいにあっという間だった。この内容で一体どこにそんな時間を使っていたんだと今思うと不思議なのだけど、観ている間はそんなことを感じさせない構成が凄い。
主演の男性モデル、カールはハリス・ディキンソン。この人を見るのは『マレフィセント2』、『ザリガニの鳴くところ』に続き3作目だけど、今回は見た目の印象も大分変わっていたので最初気付かなかった、なかなかイメージが定着しない人。
観終わった後にパンフを買って知ったけど、主役のひとりヤヤ役の方は若くしてすでに亡くなってしまっているらしく、初主演作が遺作になってしまったようで残念。初めて観る人で多分この先お目にかかることは無いのだろうけど全編のキーパーソンとして輝いていた。
クルーズ船の船長役ウディ・ハレルソンは酔っぱらってるだけのオヤジでいつも通り。彼に命を預けたばかりに難破することを考えれば戦犯だけど、観てて謎の安心感あるダメダメ感。なんだかんだで彼の出ている第2章(ゲロパート)が一番好き。
以下好きなシーンの一部
バレンシアガ と H&M
カールとヤヤのエレベーター越しの口論、しばらくはこれを思い出しただけで笑える。
ウディ・ハレルソンとズラッコ・ブリッチがスマホを片手に見ながらドヤ顔で名言を引用し合うところ。
獲物のロバを仕留めたあと男たちが抱擁して慰め合うところ
原題のトライアングル・オブ・サッドネスは眉間のしわを表す美容用語らしいけど、邦題が現わすような食物連鎖のピラミッドの逆転になっていくようなストーリーが面白かった。ただ単にトチ狂った映画でも無くて受け手に対して選択の余地を持たせるようなラストも良い。個人的にはこれにアカデミー作品賞獲って欲しい、多分ないけど。