欧州の動物園にする気か！
排斥は人間の本能なのか。言葉は悪いけど要はそういうテーマでした。西ヨーロッパへの通過点として多くの移民が集まる東欧ルーマニアの移民問題や人種差別を非常に野生的に、時にコミカルに描いた社会派スリラー作品。移民が手で捏ねたパンを食べたくないからパン工場から追い出せとか、ムスリムはお尻を拭かないから手が汚いとか、アジア人はいろんなウイルスを持ち運んでくるとか、移民を"ジプシー"という言葉で揶揄する場面や、直接的な表現が多かったが逆に変に取り繕ってなくて見やすかった。クマを象徴的に描き、人間の内に秘めた闘争心や本能を浮き彫りにする。冬の景色と人々の冷酷さがリンクしていてよかった。もはや自国民より移民の方が多いパリなどを例に挙げて自国の行く末を危惧するニュアンスが見受けられた。
