みちゃまる

ヨーロッパ新世紀のみちゃまるのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)
3.8
出稼ぎ先のドイツでトラブルを起こし、故郷のルーマニアへ戻ったマティアス。そこには仲も冷え切った妻、とあるきっかけで口が聞けなくなった息子、病気の父がいた。マティアスは慰めを求め元恋人のシーラを訪ねる。しかしシーラの働くパン会社で雇った外国人労働者を巡り、小さな村でトラブルが勃発する。

外国人労働者、低賃金労働、人種、動物愛護等様々な課題を抱える現代社会。特に多様な人種が共存する欧州のような社会では、外へ出れば自分も差別的な扱いを受ける側になってしまう。

パン工場に地元の労働者が集まらないのは、最低賃金だから。集まらないからパン工場は安い外国人労働者を雇う。地元の人は外国へ仕事を求め、外国人労働者が増えると治安が悪くなる(かもしれない)。
動物の例であれば熊による実害もあり、地元の人は熊は邪魔な存在であり駆除したいが、外の人は動物愛護を呼びかけ頭数を減らさないようにしたい。しかし熊にとっても元々自分達のテリトリーであった土地に勝手に人が住みだしたものであるし、熊からみれば人だって邪魔だし追い出したい。

正義に正しいも誤りもないとは思うけど、皆自分の正義が正しいと思っていて上手く噛み合わない。その歪みが結局は生産性の低下や景気の低迷、争いなどを招いてしまうのだから意味がない。人と人、人と動物、どちらでも一緒だ。
移民や外国人労働者の課題は日本でも十分考えられることだし、根本的な解決は難しいのかもしれない。
世界にとってこれは永遠の課題なんだろう。そこから衰退の一途を辿るのか、共存の道を選ぶのか。
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