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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像のchinsukoのレビュー・感想・評価

3.8
白いキャンパスに描かれる差別という色

12歳の主人公ポールと級友のジョニー。ジョニーは黒人でポールにとっては息の合う親友。
ポールは画家になる夢をもっていて、授業中も教師の顔を書いたりと奔放な毎日を過ごす。
自由奔放さは家庭でもしばしば問題を起こし、母を困らせ父の怒りを買う。
ポールが唯一信頼出来るのは祖父であった。祖父はポールを一人前の男として接し、祖父のアドバイスが心の支えとなっている。

ポールの家庭の様子はリアリティがあり、両親を困らせた経験がある方などはそのリアリティを感じ取れると思います。
孫に優しい祖父の存在も自然で、アンソニー・ホプキンスの好演もあり、絆が目に見える様です。

監督のジェームズ・グレイの幼少期を元に脚本を書いたという事で、リアリティはそこから生まれたのかと思います。

そして問題となる差別、ここでは主に人種差別で、ジョニーへの偏見などなかったポールが図らずもそれを体感する事になります。
逆にジョニーは差別意識に達観していて、それが当たり前の様に思っています。しかしポールだけには偏見なく接する事ができる友人でいられました。

本作での差別の重荷はジョニーだけでなく、ポール一家にもあって、ポールは家族や友人から否応なしに事実を体感させられます。

祖父は「差別や偏見に対して、毅然とする事が大事だ」とポールに投げかけます。

「毅然」とは何でしょう。

偏りがないのが一番ですが、どう向き合っていくか。これは自分たちにも投げかけられている事かもしれません。
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