このレビューはネタバレを含みます
劇中のセリフが少ない分、
生活音や言葉と言葉の間、
視線の動きや表情がより引き立っていた。
クラスメイトの
何気ない一言で開いていく心の距離
これまであった2人の世界に亀裂が入り
崩れ落ちていく瞬間だった
ベッドでくっついて寝ていたのに
いつしかレオから離れてしまって
そのベッドでの2人の距離が心の距離に見えて
なんだか胸が苦しくなったシーンだったな
先に学校へ行ってしまったレオに
レミが言い放った「僕を置いていった」は
別の意味も含んだ「置いていった」に思えた
アイスホッケーを初めて別の居場所を
作り始めたレオと、
学校入学前と何ひとつ変わらないでいるレミ
元々あった2人の楽しい世界に
僕だけを「置いていった」
レミにとって唯一無二の存在だったレオが
離れていってしまうことに
寂しさとか焦りとか、裏切りのような思いも
感じていたんじゃないのかな。
まだ大人になれていない心だからこそ
この感情を言語化するのは難しいし
(大人になってからでも難しいよね。)
言葉にできないこの思いに
レミ自身もたくさん葛藤しただろう。
死を真正面から受け止めきれないレオを
見ているのも辛かった
骨折のシーンで涙を流したのは
レミのことを思い出しているのはもちろん
人の自然な優しさに触れたからなのかな。
悲しい時って無条件で優しさに触れると
涙がでてしまうことってある。
亡くなったレミにもこの優しさに
触れさせてあげたかったな、とも思った。
ラストシーンのレオが振り返ったあとの
数秒間がよかった。
あの時と同じ光景ではないし
レミはもう後を追ってこないけど、
農園に咲いているダリアの花がレオの心を
象徴しているように感じられた。
