短絡的に「同性愛」というコンテクストに当てはめるのではなく、純粋な「愛」としての描き方はとても美しかった。現代社会の外側にこんな楽園が築けたのならどんなに良かっただろう。だが、その理想郷はある意味この作品を単なる「物語」に閉じてしまっているような気がした。起きている事象はすごく悲しいことなのに現実味が全く無い。涙は一切出なかった。言語の問題もあるのかもしれないが。もっとレミとレオの2人のすれ違いの解像度を上げて欲しかった。もっと細かい動作、手の触れ方、せっかくこれだけの演技力を持った演者が揃っているなら出来たのではないだろうか。個人的にはどのような方向性においても作品に余白を感じてしまった。
