物語的には何かが大きく解決したわけではなかったけど、彼にとって彼はなんだったのか、「ただ、そばにいなくて寂しい」という答えが出たそのことが語らずとも表情で伝わってきたし、そもそも語る必要も名付ける必要も関係性を決める必要もなく、その感情が本当に愛しいものに思えた。だからこそ悲しいのだけど。
彼に直接的な原因はあるけれど、でもそもそも思春期で敏感なときに同じく思春期の周りの子たちが取った態度や視線が発端だし、抱える感情や、それまでなんのフィルターもなく見られていた親友や自分自身を疎ましく思ってしまったのは教育の欠如もあったと思う。
まだ自覚のない曖昧な感情を持って、その扱い方もわからない時期にどういったことを学ぶべきなのだろう。大人は、親は、どうするべきなのだろう。
いろんな要因が絡み合って、でも結局取り返しのつかないことが起きた時、責める対象は"見えやすい何か"になる。
何が正しいかではなく、自分のほんとうの感情に目を向けて人と関わりたいと思ったし、その術や誰しも無意識にフィルターをかけてしまうというそのこと自体を教えるのが大人の役割なのかなと思った。
