【第75回カンヌ映画祭 コンペティション部門出品】
『クリスマス・ストーリー』アルノー・デプレシャン監督作品。カンヌ映画祭コンペに出品された作品。
デプレシャンはなんとなく観てしまうけどそんなに好きではない監督。本作もそんな感じだった。憎み合う姉と弟を描いた作品。
デプレシャンらしく家族の軋轢をありありと描いている。マリオン・コティヤール、メルビル・プポーがある日を境に憎み合うことになる姉弟を演じている。
その憎しみを癒やす話でもないし、その原因を明確に描く作品でもない。ただ憎み合っている、それだけの映画。「弟を嫌いなことに10年かかった」という言葉が印象的。家族という閉鎖関係で生じる軋轢を淡々と描いている。それが解決されるわけでもない。それこそがデプレシャン。
ただ、コティヤール、プポーはよくやっているがやや感情過多かなと思う。突然何の前触れもなくキレたりするのでこちらの感情がついていかない。
物語として何か大きく進展するわけでもないので退屈だった。一筋縄ではいかない家族というものをそのまま描き出している、と言えなくもないが、アリスにもルイにも感情移入できないので置いてけぼりな感じ。
デプレシャン独特の語り口は健在なものの、結局何が言いたい映画だったのかが不明瞭。姉弟の痴話げんかをつらつらと述べられても…
これがデプレシャンの作風だし文句はないが、やはり好きにはなれない作家だ。過去作と比べてもあまりいい出来とは思えない気がするな。