"ビザがあれば、介護ヘルパーの勉強が出来る…ビザがあれば、ベルギーで一緒に住める…ビザがあれば…ビザさえあれば…"
アフリカからベルギーに密航した際、ボートで出会ったトリとロキタ…難民と認定されビザを取得しているトリの姉と偽ってビザを取得しようと面接に挑むロキタだったが…
一言で感想を言わせて貰うと…
"何てこった…"
ビザがなければ真っ当な職には就けず、でも家族に送金しなければいけないロキタは、麻薬の売人として働く…しかも偽造ビザを得る為にもっと危険な場所に踏み込んでしまう…とりわけトリとロキタの孤独感が際立ち、本物の姉弟かのようになっている二人の関係性に説得力をもたせるドキュメンタリーのような手法は圧巻です。
誰か救ってやれよと切に願いながら、二人の行動は過激さを増し、その危うさにキリキリと胃が痛むくらいの緊張感…そして容赦の無い展開…
主役の二人は、今作がデビューという全くの新人…だからかも知れませんが、もはや俳優が演じている人物というより、映画の中で"生きている"と思わせる程リアル。
"ロキタ!"と叫ぶトリの声がいつまでもいつまでも耳に残ります…