あかめ

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのあかめのレビュー・感想・評価

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今年に入って、「ビテオドローム」と「裸のランチ」のリマスター版を劇場で観て、この新作を観るとクローネンバーグは、やりたいことが一貫しているなあと感心させられます。
それはハワード・ショアの音楽やキャロル・スピアのプロダクションデザインによるところもあると思います。
今回の手術台のマシンやベッドの生物感は「ビデオドローム」脈打つテレビやビデオテープ、拳銃と一体化する手や「裸のランチ」のマグワンプの頭型タイプライターの延長にあります。
この作品の主人公の腫瘍取り出し手術ショーは「ビテオドローム」の拷問&虐殺ライブ映像と同じことで、主人公が単純な性行為を超える新たな刺激を追い求める様を描くのも「クラッシュ」などにも通じる展開です。
パンフレットでフィルモグラフィーを観ながら作品を思い起こすとあれもこれもこの作品に繋がる要素があるなあと感心。
ちなみにこの作品の脚本は1999年頃に書かれたもので、クローネンバーグもこの作品を忘れかけていたところ、プロデューサーにそろそろこの脚本をやったらと声を掛けられ始動したとか。だから最近の作品より古い作品との共通点が多いのかと納得。
クローネンバーグ好きとして、過去作品をさんざん観ているから、やっぱりそういう過去作品に関連付ける見方になってしまうのだけど、クローネンバーグを知らない状態で観たらどんな感じなんだろうか。さぞかし刺激的な体験なんじゃないだろうか。
これでよくわからんわと思った人は一回「ザ・フライ」とか「デッドゾーン」あたりからクローネンバーグ作品を観てもらうと抵抗がなくなるかも。
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