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クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

4.4


ストーリーの起伏や大きな見せ場で魅せるような映画ではなく、じゃあ何が見られるのかというと、これぞクローネンバーグ印!という彼のビジョンが見える映画。
フェチシズム全開で彼が描く内なる美とは。
人類が獲得する新たな快楽とは。
地球環境に最適化した人類の進化とは。

また、クローネンバーグなりの環境破壊等の諸問題の解決策を(wokeカルチャーとは一線を画したやり方で)考えてるんだなぁという意味でも興味深い作品でした。

そう、地球環境問題でも人種問題でもジェンダー問題でも何でもいいんだけど、いわゆるwokeな作品や言説が悪い意味で表出する場合に、
憂さ晴らし的な他者への攻撃や、単なる金儲けのネタや、その発信者のポジショントークに成り下がったりするもんだけど

「マイクロプラスティックが地球を汚染している?なら食べ出消化出来たらいいよね」
「身体的な痛みってぶっちゃけ必要?体に起きる危険のアラートさえ有りゃいいんじゃね?」
「こんなセックスやこんなアートだってあり得るんじゃね?」
本作でクローネンバーグが描くビジョンにはwoke的なマインドとは一線を画した純粋な好奇心に満ちている。要は、前向きな提案なのだ。
(それ掛ける、×ボディホラーフェチシズム!笑)

それ故か、こんなにもグロい映像満載のディストピアを見せつけられながら、不思議と楽観的な未来があるような気にもなるのだ。
面白いものを見せてもらった!!
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