Lifewithmovies

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのLifewithmoviesのレビュー・感想・評価

5.0
2023年8月21日、9月2日 #Tジョイ京都
第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。鬼才デビッド・クローネンバーグの最新作。刺激的かつ知的で深淵が観えそうな傑作。
1回の鑑賞では、全容が理解できず、おかわり鑑賞。2回目は、特殊な設定や普段観る映画では登場しない用語も頭に入れた上で観たので、かなり楽しめた。そういう意味では、これ2回観る映画な気がする(笑)
まず、作品の持つ世界観、作品中に登場する造形物、内臓を手術で取り出す芸術という設定が、他の追従させない圧倒的なインパクト。
その上で、物語の中で描かれるキーワード「痛み」「進化」「体の内なる」「タトゥー」「セックス」「プラスティック」。それぞれ、1次的な意味としても存在するが、実はすべて、別の事柄の比喩となっているので、それを置き換えて考えて行くと、美しいアートやグロテスクとは別のレイヤーに、哲学的なクローネンバーグの思想が横たわっていることがわかる。正確に徹底考察するのは、かなり難しそうですが、世界のどこかには、あるのであれば、読みたい。表面的な部分から、この作品を避けてしまうと、とてももったいない。単なるディストピア映画では、まったくないえげつない作品です。
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