近未来、人類から痛みが消えつつある世界。「加速進化症候群」の男ソールは自らの身体に新種の臓器を生み出しパートナーがその臓器にタトゥーを施すショーで大盛況だ。しかし政府は人類の誤った進化を防ぐ為に「臓器登録所」を設立。ある日、ソールのもとにプラスチックを食べる子供の遺体が新たなアートの材料として現れる。
近未来とは言ってもかなりディストピア方向の近未来だった。ソールのベッドや椅子、謎の医療機器もありえないほどカッコ良くてキモい造形で良すぎる。
痛みの存在しない世界で痛みを伴うはずの手術はセックスと同義に官能的だ、廃棄物を自らで処理出来る能力を持つようになれば良いという正しくも強過ぎる思想、人が作り上げた進化を自然に受け継いだ子どもはもはや人間ではないという宗教とも生物学ともとれる思考、国の手回し、暗殺、自殺、痛み。
官能的なディストピアボディホラーだけど、正直言って内容はかなり難解で、難解過ぎて少し退屈だった。
アート、というのはマジで分かる人にしか分からないんだと改めて半笑いになるしか無かった。何もわからないけど、面は良いな、みたいな気持ちのまま100分はあっという間に過ぎてしまった。
メインとは深い関わりはないけれど、全身に耳のある男のコンテンポラリーダンスが素晴らしかった。解剖ショーにしてもそうだが、世界がどんなに狂っても自己表現やアートの世界はこうやって特段変わらず続いていくのだろうと思った。