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聖地には蜘蛛が巣を張るのプレコップのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
4.3
聖地に巣食う蜘蛛の巣とは?

神の名の下に行った正義が浄化=娼婦殺し、ミソジニーという神への冒涜&クソったれぶりがイランの景色を曇らせる傑作。

今作のタイトル、「スパイダー」は娼婦たちのことではなく、イランに蔓延る家父長制、退役軍人のフラストレーション、差別なのだということを示していてよく出来ている。

上記のようにイランの閉塞感あふれる実情にやるせなさを覚えるが、殺人シーンやサイードの視点に移り変わる場面の緊迫感はサスペンスの要素を強め、娯楽作としてのクオリティも担保されている。

ストーカーによる殺人事件で、被害者側が叩かれるようなこの日本にとってこの映画は当然、他人事なわけがない。
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