けんし

あちらにいる鬼のけんしのレビュー・感想・評価

あちらにいる鬼(2022年製作の映画)
4.8
私にはめちゃくちゃ面白かった。
井上荒野の原作小説がきっと面白いのだろうけど、俳優陣の演技が素晴らしく、寺島しのぶは言わずもがな、妻役の広末涼子が素晴らしく、またトヨエツはあんまり上手いと思ったことがないのですが、その淡白な表現が役に合い、情と軽薄がないまぜな難しい役を成立させていたように思いました。
サブテキスト、非言語的表現がこんなにも豊かで、つまりそれは矛盾を背負い引き裂かれた「人間」たる所以で、それは滑稽で、たまらなく残酷で、たまらなく愛おしく、かけがえのない。
最後は細波があり、やがて、静寂。
とても静かなエンディングが心に残る。
浜田真理子の歌。
「鬼」とはなんだったんだろうか。

名作。
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