erina

ノー・シャークのerinaのレビュー・感想・評価

ノー・シャーク(2022年製作の映画)
4.0
従来のサメ映画では、サメは恐怖の対象として描かれる。
だが実際サメは人を食べるということはほとんどせず、
むしろ人間に年間何百匹も殺されているという事実にはハッとさせられた。

女性を性的な目で見つめる男性の視線に主人公は大きな嫌悪感を示し、誰のものにもなりたくない、と太ももに消えない傷を負う彼女は思う。

誰かに操作されずに生きるため、孤高の人間にならざるを得なかった彼女。
自己意識が高く、周囲の人間を軽視しているが、何かと敬遠されたり理解してもらえなかったことの多い人生だったのではと推察する。

彼女にとって、サメとは囚われた生身の体から解放させてくれるいわば救世主的存在として描かれ、
まぶたをとじることのできないサメと目の前の現実から逃避できない自分とを重ね合わせ、むしろ同情すら寄せている。

主人公は、他人との距離感や思考、性別など関係なく自身の本能のままに獲物を捉える(=人と向き合う)サメ(=人間)になりたかったのだろうか。
erina

erina