ボブおじさん

クリスタル殺人事件のボブおじさんのレビュー・感想・評価

クリスタル殺人事件(1980年製作の映画)
3.5
原作はミステリーの女王アガサ・クリスティが実際にあったある女優の出来事をヒントに書き上げた小説〝鏡は横にひび割れて〟。ロンドン郊外の静かな町を舞台に起こった殺人事件を名老婦人探偵ミス・ジューン・マープルが解くオールスター出演の推理サスペンス。

原作を読んだのも映画を観たのも、もう40年以上前になるため、細かい内容は忘れていたので改めて楽しむことができた。

ミステリの世界では、フー・ダニット(誰が犯行を行ったのか)、ハウ・ダニット(どうやって犯行を行ったのか)、ホワイ・ダニット(なぜ犯行を行ったのか)という謎の分類がある。

本作を誰が犯人かという視点で見るとミステリーとしての魅力は半減する。本作品の見どころは明らかにホワイ・ダニット(なぜ殺したのか)の部分だろう。

人間心理に関係するこの謎を見破ることはなかなかに難しく。その理由がわかった時、なんとも言えないやるせなさが湧き上がる。

誰がやったかは前半で察しがつく、だが何故やったのか最後のピースが欠けている。村の情報通で抜群の人間観察力と鋭い推理力を持つミス・マープルが最後のピースを埋めるべく奮闘する。

偶然聞いた話が深い傷を残した過去の体験と結びついた時、この殺人事件と言う名のパズルは完成する。