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呪詛のSSDDのレビュー・感想・評価

呪詛(2022年製作の映画)
4.7
■概要
呪いを受けたという女性が娘に呪いの影響を与えたくなく里親に出していたが、6年間かけて精神医療を受け克服したことで再度子供との生活を始める…が、幸せな娘との生活にすぐに暗い影が落とし始める…。
台湾で起きた実際の事件から着想を得た作品となっている台湾ホラー作品。

■感想(ネタバレなし)
幽霊や目に見えないものの存在はいたらいいなと思うが、実際に人を殺せる霊体がいるならそれを見た人間は死んでいるはず。そうなると存在を伝承する人間はいないため、存在を確かめる術はない。もしくは死をもって体感する以外はない…という結論になるため、どんなホラーも人間の方が怖いと思うたちです。

ただ本作、今まで観たホラー作品の中でも群を抜いた禍々しさと狂気を感じられる。

前編を様々なホームカメラや監視カメラ、スマホの動画から撮っているものを繋げているという作風のおかげで映像の荒さや不鮮明なことで恐怖を駆り立て、虫やグロテスクな描写で不快感を上げてくる手法は正直に最高峰。

怖かったかと言われるとワクワク感で感じられなかったが、やはり恐怖は暗闇の中にあり、想像の余地を残すことで増幅されるのだと再認識させられる。

是非ホラー好きなら必見の作品と言える。
実際に起きた事件は着想を得たのみなので先に調べても影響はないが、あまりに意味がわからない事件過ぎて調べたくなる…。

あと主人公が夏帆さんにしか見えない…こんなに似てる人いるのかくらい似てる気がする…。

※再視聴し、メモを追記※













■感想(ネタバレあり)
考察:里親の男は罠に嵌められている
映像の復元を好奇心から自発的にしたのは間違いないと思うが、主人公に仕向けられたと考えられる。
村の祈りの文句を翻訳できる寺に行くシーンがあるが細かくは語らずに里親は死ぬ。
その後、他の映像を跨いで寺のシーンが映り村の祈りの意味を語るが、最後に映るのが主人公がまだお腹が膨らんでいる状態で写り込んでいる。
つまり主人公は過去に寺を訪れてこの村で何が起こっていたのか翻訳を聞き知っていた…その上で呪いを薄めるために拡散する目的で里親に過去映像の復元をさせていたと考えられる。
村に向かってループし続けた時も、自然にお経を唱え始めたのでもう知っていたというのも成り立つ。

考察:娘が見つけたお経が書かれた少女
3人が荒らした後の状態のままの地下道を見ると、村は壊滅していたが、当時大黒仏母に捉われた少女は生き残っていたのだろう。
しかし娘を使って大黒仏母が少女を表に出したのだと思われる。理由は主人公に生贄にさせるため…。
ただし、片耳だけで済んだがこれは耳なし芳一をモチーフにしていそう。

考察:世の中の理
祈りを呪いというのか認識一つで世界は変わる。
あの人は殺人犯で元受刑者と知った時から周囲の態度が変わるように…。ある日隣国が敵国と言われたら国内でその国の人間が迫害されるように…。

認識一つで全て今まで善行が偽善に見えたり、裏を感じたり。この映画では元事件のように他人では認識が異なるものを信じ切ってしまうことで恵みも災いに転換できるということが言いたいのかもしれない。


統括:第四の壁を使ったこの映画の視聴者に向けて呪いをかけてくるあたり、邦画のCUREを思い出す趣味の悪さが最高。
様々な記録映像を追った作りにする事でわざと不鮮明にもできるし、不気味さが増すので昔の心霊映像のような演出もノスタルジックに楽しめた。
もっとゴアキツめの方がよかったがこれ以上はダメだったのだろうか…こんな雰囲気の台湾のPCホラーゲームがあった気がする。
大満足なホラーだったので今後も台湾ホラーを量産してほしい。

■再視聴後
・両親も映像を見て道師に主人公をみてもらっていた
※父親は引かれる前に名前を行っていたので呪われてた
・保護管理のおばさんもらしっかり呪いを受けて熱したガラスを飲んでる、御守り渡してきたことへの報復か
・精神科医にも映像を観せている
※後の村に里親と行くカーラジオで突然流れ出し、病院爆発した中に首を吊ってたと告げ始めおそらく医師の断末魔が聞こえる
・なにも考えるな行動するのみ…という主人公は周囲に呪いを撒く事への罪悪感を絶ち、子供のために行動する決意表明か
・最後に主人公が印と祈りの意味を明かすのは更なる呪いの受け手を増やして娘の呪いを薄めるため
・地下道で死んだ主人公のカメラはどうやって回収して誰が流したか
※やはりネタバレなし感想に書いた通り、死の呪いがあるならば伝承する術はない、当事者が死ぬから
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