北イタリアモンテ・ローザ山麓の小さな村を舞台に、2人の男性の友情と人生を描いた作品。
壮大な山々を背景に少年時代の出会い、別れ、疎遠、再会、父との確執、結婚、変わりゆく環境…
この映画で描かれているのは人生。だから幸福になったからそこで終わり(ハッピーエンド)ではない。その先も描かれていてそこでは当然変化があり、それに伴う苦悩や困難も描かれている。
山に生まれ山で育ち山で酪農家として生きる決意をしたブルーノと、都会で目標が見つからず流されるように暮らすピエトロ。ある日ピエトロは何かを探すようにネパールへ旅立つ。そして彼は8つの山の話を知る。
世界の中心には最も高い山、須弥山(スメール山、しゅみせん)があり、その周りを海、そして 8 つの山に囲まれている。8つの山すべてに登った者と、須弥山に登った者、どちらがより多くのことを学んだのでしょうか。
※古代インドの世界観で、世界の中心にそびえる聖なる山。仏教、バラモン教、ジャイナ教、ヒンドゥー教にも共有されている概念。(公式サイトより)
この話は2人の生き方を象徴している大事な話。
その他父との確執がもたらしたものや鳥葬の話などしっかり伏線になっていて、上映時間147分の長尺もシーンの相関性や人生を描いている事を考えれば納得の良作。
鑑賞後は自身や友人を振り返り、流動性が高く多様性が求められる現代社会において1番高い山に登るより8つの山を巡る事の方が重要ではないか、山は帰る場所の象徴であり自分には帰る場所があるのかな、とか考えた。