けいすぃー

帰れない山のけいすぃーのレビュー・感想・評価

帰れない山(2022年製作の映画)
3.7
まず景色が綺麗。アルプスの山の生活を覗くだけでも楽しめる作品。あえてワイドじゃない画面を使うことで山の高さを強調している。
邦題の『帰れない山』と原題の『Le Otto Montagne』(8つの山)でニュアンスが変わるが、どちらの視点も大事ではあるので、難しいところ。

以下ネタバレを含みます

この物語の主題はなんなのか、それはなかなか掴みにくかった。しかし、タイトルの意味が後半に出てきて、ある程度腑に落ちた。
主人公のピエトロがネパールで出会った考え方、自分達がいる中心の高い山の他に世界には8つの山があり、中心にとどまるよりも8つの山を見てきた方が賢人になれるといったものだ。
ピエトロは8つの山を回る人生で、ブルーノは中心の山に留まった。そしてその中心の山はピエトロにとって"帰れない山"になった訳だ。

帰れない山になったのは兄弟のような親友を失った場所であるからなのだが、留まるのと8つの山を回るのとどちらが良かったのかというのがテーマのひとつだろう。
我々はピエトロの幼少期から半生を外観し、彼の原体験や後悔に感情移入をしていく。作品自体がまさに山登りのように苦難と楽しさを積み重ねていくようだった。
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