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プアン/友だちと呼ばせてのisoniのネタバレレビュー・内容・結末

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

終盤の告白によって、主人公2人の印象ががらりと違ったものに見えてくる。
わたしたちはウードの思い出を彼の見たいように見せられて、彼自身に対しても見たいようにしか見なかっただけで(死が近い人は穏やかだとか聖人化している節もある。同情込みで)、
美しくエモーショナルな過去の光景も、もしかすると独りよがりな妄想の産物かもしれない。
実際彼女ら全員が、彼との間にあった良い思い出の方を記憶しているわけではなさそうだし。
思い出は美化されるというけれど、彼は死の間際に心残りを精算して「あぁなんだかんだ良い人生だった。僕に関わった君たちもそうでしょ?」と思いたいがために、なるべく綺麗な部分をいささか無理に引っ張り出しているようではある。
「出会えて良かった」かはともかく、ウードがいたから今の彼女たち、そしてボスがあり、
関わった人のすべてがウードを形作って、彼のいなくなった後もそれを覚えている人がいる限りずっとそこにある。
そういう救いが全体をあたたかく照らしていて、観終わった後の気分も晴れやかだった。


正直「余命わずかな主人公が〜」みたいなテーマもロードムービーも個人的には苦手だったけれど、この作品はずっとテンポがよくて軽妙で、食わず嫌いしなくてよかったなという気持ち。
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