このレビューはネタバレを含みます
着倒れ方丈記×自我覚醒
成人してから何のために働いてきたかというと、よくよく考えると服を買うためであった気がするので、わかりみしかない。胸熱。服は高まる。わかる。泣ける。
そして、装うことによって自己肯定感が高まり、見下されていたことに気づくところ好き。「自分を見下す人には、忠誠心は持てません。」使ってみたいフレーズ。
伯爵のノブレスオブリージュは、ナチュラル失礼だったというところは吹いた。ほめ言葉としての、優しい掃除のおばさん。ガーン。ナチュラル上から目線、育ちには抗えないですね。
自分の働いたお金で好きなことに散財する。自分で働いたお金は、誰にも気を遣わなくていいからマダム最高やん。
ww2戦後、ドレスアップ文化が労働者階級の女性、本作では戦争未亡人の活力になり、労働と経済をまわす一端になっていたのなら、それは美しいこと。働く目的は、生きる目的=美への憧れを体現する未亡人マダム。欲しいものが明確だし、頑張れば買えないものはない万能感。
ディオールのハウスマヌカン(あれが本当の意味でそうなのか)が、見た目で評価されることに甘んずることなく、教養至上主義なのも、戦後っぽい。
今はなき戦後経済復興ロマンのおとぎ話。サスティナブルとか考えなくてよい贅沢文化にうっとり。