ノラネコの呑んで観るシネマ

ハンサン ―龍の出現―のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ハンサン ―龍の出現―(2022年製作の映画)
3.7
豊臣政権が朝鮮を攻めた文禄の役で、朝鮮の知将、李舜臣が日本水軍を壊滅させた閑山島海戦を描く歴史ドラマ。
前半2/3が海戦に至るまでの双方の駆け引きで、終盤の1/3が海戦スペクタクルという流れ。
李舜臣と言えば亀甲船だが、実際は数が少なく主力でなかったなどの説を反映。
海戦自体はまあエンタメ的に相当に盛ってあるんだが、なかなかに熱血。
そもそもこの時代の海戦が、映画で描かれること自体が珍しく、映像的にもよく出来ている。
だが、この映画の問題は前半の大味さ。
お互いの間諜を駆使した騙し合いとか、いろいろ工夫はされている。
しかし肝心の李舜臣は、ずーっと思案してるだけの画が続く。
かと言って彼の内面や人となりが描かれるでも無く、主人公としての魅力が無い。
むしろアン・ソンギ演じる老将や、敵将の脇坂安治の方がエネルギッシュで華のあるキャラクターになってしまった。
海戦アクションとしてはまあまあ面白いが、人間ドラマが薄味すぎて、最後まで観ても、主人公の顔が印象に残らないのはいかがなものかと。
まあ国民的英雄を描く難しさはあると思うけど。