きゅうげん

オカムロさんのきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

オカムロさん(2022年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

笠をかぶった着物の男が夜な夜な窓や戸を叩く。「オカムロ」と唱えれば去るのだが、これを無視した者は死ぬ。
そして、この話を見聞きした者はとりわけ狙われやすくなるという……。そうつまり、「オカムロさん」はあなたの元へやってくる!

……という都市伝説「オカムロさん」。
廣田龍平先生によれば、1990年前後の心霊本の読者投稿コーナーや2000年代の2ちゃんねる上の恐怖体験談などに登場し、「幼少期:オカルト・ブーム→青年期:ネットロア・ブーム」という世代的受容(今の30〜40代?)や、「怪異を話題にした者自身がその被害者となる」系都市伝説としての性格の一致(cfカシマレイコ・ババサレ)などが指摘できるとのこと。
やはりこの手の都市伝説は、雑誌文化とかネット掲示板とか即時・即物的な情報の伝播が、具体的な内容のリアリティと綿密に関係してるところが面白味なんですね。


夜のキャンプ場というスラッシャーのお約束から始まり、カッコいい伊澤さんや識者のカメオ出演にコロナ禍の反映など、今らしいエクストリームなインディペンデント映画の要素ぜんぶ載せって印象です。
物語的な完成度は綿密さに欠け、もう少し尺を伸ばしていいから描写・説明を深めて欲しかったですし、“噂話したヤツ絶対殺す系怪異”のパンデミック化という設定そのものに難ありな気もしますが、しかし斬首シーンはじめ技術面のクオリティや、山場アクションの捌き方・見せ方など、まぁ意外と満腹感あり。
日芸主卒直後の商業デビュー作品とあって、なかなか胆力のある映画ですねぇ。
松野友喜人監督、今後に期待大です!